猫にはない感情ってなに!?
猫には人間と異なる感情構造があり、人間にとって当たり前とされるいくつかの感情がない、もしくは異なる形で表れると考えられています。猫に欠けているとされる感情について見ていくと、彼らの本能や生態から、どのように感じ方が異なるのかが浮かび上がってきます。
その感情とは?
1. 罪悪感
猫が何か悪いことをした際、たとえば食べ物を盗んだり家具を傷つけたりしても、彼らは人間のように「悪いことをした」という罪悪感を示さないようです。これは、犬がよく「反省しているような顔」をするのと対照的です。犬が主人に叱られると耳を伏せたり、目をそらしたりしますが、猫の場合、このような「謝罪行動」を示すことはほとんどありません。罪悪感は社会的な規範や道徳観念に基づく感情であり、孤独なハンターである猫にはこうした社会的な責任の意識があまり発達していないからと考えられます。
2. 嫉妬
嫉妬も、猫が持たないか、少なくとも人間とは大きく異なる形で存在する感情です。例えば飼い主が他の動物をかわいがると、一見嫉妬しているように見えることがありますが、これは嫉妬というよりも、単純に「自分が構ってもらえない」という不満や欲求不満からくる行動です。社会的な動物である犬に比べて、猫は基本的に単独行動を好むため、群れの中で他者との比較に基づく嫉妬心はあまり発生しにくいのです。猫の「嫉妬」に見える行動は、むしろ彼らの生活空間や社会的な優位性の確保を意識した本能的な行動といえるでしょう。
3. 復讐心
人間はしばしば嫌な経験を「復讐」することで解消することがありますが、猫は基本的に復讐心を持たないと考えられています。たとえば、猫が急にトイレ以外の場所でおしっこをするようになったとき、飼い主が猫のことを怒らせたのではないかと考えることもありますが、実際にはそれは「復讐」ではなく、何かしらのストレスや環境変化への適応反応であることがほとんどです。猫の行動は本能的で直接的なものであり、感情を長期的に引きずることが少ないため、執拗な「仕返し」のような概念とは縁がないといえるでしょう。
4. 未来への不安
人間は将来に対する不安や希望を抱くことができますが、猫にはこうした未来志向の感情があまりありません。猫は目の前の状況に反応し、現在の快適さや危険性を感じることには長けていますが、遠い未来を予測して「どうなるだろう」と不安になることはありません。これは猫が野生で生き抜くために、効率よく目の前の危険やチャンスに対応する本能が強化された結果と考えられます。未来への不安がないため、猫は過度に悩むことなく、毎日を自然体で過ごすことができます。
猫の感情構造の背景
猫にないとされるこれらの感情の背景には、彼らの進化の歴史や生活様式が関わっています。人間や犬のように社会的な群れで生活する必要がない猫は、社会性を強く必要としないため、群れの中での地位や他者との関係に基づく複雑な感情が進化しにくかったと考えられます。
まとめ
猫と人間では異なる感情構造を持つことから、猫を飼う際には彼らが持つ独自の感情表現を理解し、それに応じた接し方を心がけることが大切です。猫が特定の行動をとるとき、それを「嫉妬している」「怒っている」と捉えるのではなく、彼らの生態や本能から見た自然な行動であると理解することで、より良い関係が築けるでしょう。