ペットを飼っている人は幸せってほんと!?実は不幸せという噂を解説!

はじめに

 ペットを飼われているみなさん、あなたは今幸せですか?こんな怪しげな文句からこの記事を始めてしまったことをお許しください。一般的に、ペットは人々の幸福に寄与していると思われていますよね。それこそ最近では、動物と触れ合うことで人々の心を癒すアニマルセラピーが話題になっていたりします。つまり、ペットの飼育は人を幸せにするのかもしれません。その一方で、ペットを飼うことが人を不幸せにする、なんていう主張をする人もいたりします。では、実際のところはどうなのでしょうか。

今回はペットが飼い主に与えるメリットとデメリットを検証し、ペットが飼い主にどんな影響を与えるのか考えてみたいと思います。

ペットが飼い主に与えるメリット

 まずはペットが飼い主を幸せにしてくれるのかどうか、実例を踏まえて紹介します。

・ペット効果

 ペットと一緒に暮らすことが人間の健康や幸福に寄与することを「ペット効果」と呼びます。一般的にペットは人間にとって遊び相手になったり、交友をとる相手になったりしますが、最近では、ペットは人間にとってさらに影響力のある相手であると考えられるようになっており、医者や精神科医の代わりにもなるとも言われています。しかしながら、このペット効果には証拠が不足していると主張する人もいます。実際のところはどうなのでしょうか。

・ペット効果が働いた実例

 ここからは、ペット効果が働いたことを示す調査や研究を紹介します。

心臓発作に罹った92人を調べた研究では、“ペットを飼っている人のうち28%は1年以上生き延びることができたが、ペットを飼っていない人では6%しか生き延びることができなかった”(引用:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1422527/?page=4)ことや、“ペットを飼っている人はペットを飼っていない人と比べて、ストレスのかかる状況に置かれた時の血圧上昇率が低かった”(引用:https://doi.org/10.1046/j.0963-7214.2003.01269.x)ことが示されています。

以上のことから、ペットは人の健康に良い影響を与えるのではないかと考えられるわけです。

実際に、ドイツとオーストラリアに住む人を対象に行われた調査では、“ペットを飼っている人は飼っていない人に比べて医者にかかる回数が15%低い” (引用:https://www.doi.org/10.1037/12301-008)ことが報告されています。また、ペットは飼い主の心理面にも良い影響を与えることを示した研究が行われています。

たとえば、“ペットを飼っている人は気分が前向きで生活満足度が高く、孤独感を感じていない傾向にある”(引用:https://psycnet.apa.org/doi/10.1207/s15324834basp2802_3)ようです。このように、ペットを飼育することは飼い主に対して肉体的にも精神的にもメリットとなっていることが実際に示されています。

ペットが飼い主に与えるデメリット

 その一方で、ペットが飼い主にデメリットを与えていると主張する人もいます。その主張は一体どういった理由によるものなのでしょうか。

・研究の信頼性

 そもそも、これらの研究の信頼性が低いと主張する人がいるようです。実際に、どの研究もペットを飼っている人と飼っていない人の2つのグループに分けていますが、ペットを飼っている人はそれぞれ、ペットの種類が違ったり飼育している数や期間が違ったりするため、一口にまとめることができないと思われます。また、同じ内容の実験を他の場所や年に行うと真逆の結果が得られることがあることもあります。さらに、そもそもペットを飼育できる人はそれだけ経済的に余裕があるため、健康面や精神面においてペットを飼っていない人よりも上回っている可能性も考えられます。このように、専門家の中でも意見が分かれているため、ペット効果の実のところはよくわかっていません。

・ペット効果は起こらない?

 ペット効果を報告する研究と相反するように、ペットの存在が飼い主に何の影響も与えていないことを報告した研究もあります。たとえば、イギリスで行われた研究では、“同一人物を対象に、ペットを飼育する前と飼育してから6ヶ月経った後で孤独度のテストを行ったところ、特に違いはない“(引用:https://doi.org/10.2752/089279307X245473)ことが報告されました。この研究から、ペットを飼育したところで飼い主の精神面に何の影響をもたらしていないのではないかと考えられるわけです。

・ペットがもたらすデメリット

 ペットが飼い主にデメリットを与えるなんてあまり想像しづらいですが、実のところさまざまな点において、ペットは飼い主に不利益を被ります。まず1つ目に挙げられることが、ペットの飼育にはお金がかかるということです。たとえば、中型犬の飼育には合計で8万円、猫の飼育には10万円ほどかかると言われています。その他にも、アメリカでは人が犬に重傷を追わされる確率は毒蛇の100倍と言われていたり、人はペットからさまざまな病気をうつされることもあったりするため、ペットは飼い主の健康にデメリットを与える可能性があるのです。

まとめ

 今回は、ペットを飼っている人は本当に幸せなのかどうかということを、さまざまな研究や調査をもとに紹介しました。ペットには飼い主にメリットをもたらす結果が報告されている一方で、その結果の信頼性があまり高くなかったり、ペットを飼育することによってデメリットがもたらせたりするようです。人類はこれまで長い間、家畜を含む動物と共生して暮らしてきましたが、ペットが人間にどんな影響を与えるのかが未だはっきりしていないことは、意外に感じますよね。これからもたくさんの研究が行われ、はっきりとした結果が得られることに期待したいです。