ハリネズミの鳴き声〜どうして君たちは鳴いているの?〜

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【はじめに】

 いつもより早く起きられた朝、空いた時間を有意義に過ごすために公園を散歩していると、いたるところから鳥の鳴き声がしました。鳥は繁殖相手を呼び寄せるためや、仲間とのコミュニケーションのために鳴くと言われています。このように、鳥が鳴き声を上げることはよく知られていると思いますが、実はペットのハリネズミも鳴き声を上げることはあまり知られていないのではないでしょうか。ペットとして人気なイヌやネコと比べるとその頻度は低いですし、声量も大きくはありませんが、一緒に暮らしていると何度も彼らの鳴き声を耳にすることがあります。しかし、ハリネズミを飼育している方の中には、ハリネズミがどうして鳴いているのかよく分からず、困っている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、ハリネズミの鳴き声の種類と鳴き声を上げる理由について紹介します。

【鳴き声の種類】

 ハリネズミの鳴き声にはいくつか種類があります。これから、鳴き声の種類とその意味、健康異常や不調のサインについて紹介していきます。

・フンフンと鼻を鳴らす声

 ハリネズミが探索行動をとるときなどに、鼻を上下に動かして出す鳴き声です。そのため、この声は餌を与えた時などに聞くことができるでしょう。注意深く臭いを嗅ぐ時に上げる鳴き声のため、健康面などで特に気にかける必要はありません。

・フシューと吹くような鳴き声

 外敵への威嚇のため、体を丸ませて針を突き出しながら出す鳴き声で、何度も繰り返すことはなく、数秒から十秒ほどで終わります。人が触れようとしたり、何か大きな物音や振動を与えてしまったりした時に上げます。ハリネズミが恐怖を感じている証拠なので、この鳴き声を上げた時はあまり刺激しないようにしましょう。

・プクプクと繰り返す鳴き声

 上述した威嚇の鳴き声の後など、恐怖を感じた後に出す鳴き声です。これは、ハリネズミが怯えている時に上げます。聞いている分には少し可愛らしく感じますが、この鳴き声はハリネズミがストレスを感じている証拠であるため、この鳴き声を上げた時は、暗がりなどの安静できる場所に静置して落ち着かせてあげましょう。

・プゥプゥといういびきのような鳴き声

 これはまさしく、ハリネズミのいびきです。日中などハリネズミが寝ている時にたまに聞くことができます。また、この鳴き声を上げている時は、まれに鼻ちょうちんが見られることもあります。穏やかに寝ている証拠なので、起こさないよう静かにしてあげましょう。

・ピーピーとささやく鳴き声

 小鳥のように小さく呟くような鳴き声で、気分が良い時に発します。スキンシップをとった時にこのように鳴いた場合は、ハリネズミがあなたに気を許している証拠なので、そのまま優しく触れてあげ、愛情を注いであげましょう。または、生まれて間もない赤ちゃんハリネズミがお母さんを呼ぶ時も、このような鳴き声をあげることがあります。

・病気の予兆となる鳴き声

 コンコンと喉の詰まったような鳴き声を上げた時やギャーなどと今まで聞いたことのないような異常な鳴き声を上げた時、あるいは特定の鳴き声が1日中止まらない時などは病気や不調の予兆です。このような異常な鳴き声を聞き、それが1日から数日間続くようでしたら、エキゾチックアニマルを扱っている動物病院に連れて行ってあげましょう。

【おまけ:ハリネズミの異変を察知するために】

 おまけとして、普段はあまり見かけることのないハリネズミの異変や異常行動を紹介します。これを、病院に連れて行くべきかどうかの判断基準にしていただけたらと思います。

・体の異常

 皮膚にできものや腫れができたり、耳がギザギザ状に欠けたり、あるいは針が大量に抜けたりした場合は、皮膚病が疑われます。ただ、抜針は必ずしも病気が原因というわけではなく、周期的な生え代わりにより起こることもあります。何十本も抜ける日が1週間ほど続くようであれば注意した方が良いでしょう。また、口の腫れや出血は歯周病の予兆として知られています。食欲不振になっていたり、口から異臭がしたりすることに気づいたら病院へ連れて行きましょう。

・体内の異常

 うんちが下痢状になっていたり、うんちに腸壁と呼ばれる緑色の物質が混ざっていたりすることは、体内の異常の予兆です。ただ、これはちょっとしたストレスによって起こることもあるため、そこまで過敏になる必要はありません。このような異常が長く続く場合は病院へ連れて行くようにしましょう。

・アンティグ

 口から出した泡を体にこすりつける行動のことをアンティグと言います。この行動の原因や意味ははっきりしていませんが、発情期に見られる特異な行動であるとか、気になる臭いに対する反応として見られる行動、あるいは天敵から身を守るためにとる行動などと言われています。筆者の飼育しているハリネズミは、初めてニンジンを食べた時にアンティグをしました。その際は、体中が人参の赤色に染まってしまい、恐怖したのを覚えています。環境が変化した時によく見られる傾向があるため、アンティグが何度も見られる時は、ハリネズミの飼育環境の見直しをおすすめします。

【まとめ】

 今回は、ハリネズミの鳴き声について、そして変わった行動や異常について紹介しました。あまり鳴かないハリネズミだからこそ、鳴き声に対して過敏に反応してしまったり、異変の予兆となる鳴き声を聞き逃したりしてしまうこともあるでしょう。そのため、ハリネズミの鳴き声の種類やその意味について知ることは、長く付き合っていくにあたって非常に重要であると思います。大切なパートナーの異変を見逃さないよう、そして適切な関係の構築とコミュニケーションのためにも、これからはより一層ハリネズミの鳴き声に注目して上げてください。