わんちゃんの”肛門絞り”とは?必要?

犬の肛門絞りとは、犬の肛門周りにある「肛門腺(こうもんせん)」から分泌物を絞り出す行為です。この肛門腺には臭いの強い分泌液がたまり、犬の排便時に自然に分泌されて排泄物に混ざり、他の犬へのマーキングや縄張り主張に役立っていると考えられています。しかし、個体によっては肛門腺がうまく排出されず、溜まった分泌液が不快な臭いや健康リスクにつながることがあるため、飼い主が適切なタイミングで「肛門絞り」を行うことが推奨される場合があります。

肛門腺が溜まるとどうなるのか?

肛門腺は一般的には排便時に刺激され、自然に内容物が排出されるため、特に小型犬や活発な犬では、ほとんどのケースで自然に肛門腺が排出されることが多いです。しかし、何らかの理由で分泌液が溜まり続けると、以下のような健康問題を引き起こす可能性があります。

1. 肛門腺炎

   分泌液が固まってしまうと、肛門腺が詰まり、炎症が起こる場合があります。肛門腺が炎症を起こすと痛みを伴い、放置すると化膿する可能性もあります。最悪の場合、膿が肛門周囲の皮膚を通じて排出される「肛門腺破裂」にまで至ることもあるため、早めの対処が重要です。

2. 悪臭の発生

   肛門腺の分泌液は強い臭いがあり、溜まってしまうと悪臭が漂うことがあります。特に小型犬や運動量が少ない犬は肛門腺の排出が難しいため、定期的な肛門絞りが必要となる場合が多いです。

3. かゆみや不快感

   犬が後ろ足でお尻をかいたり、床にお尻をこすりつける「お尻スライド」を頻繁に行う場合、肛門腺に不快感を感じている可能性があります。この行動は他の問題の兆候であることもありますが、肛門腺が原因であるケースも多いため、注意が必要です。

肛門絞りは必要か?

肛門絞りが必要かどうかは、犬の体質や生活習慣、個々の健康状態によって異なります。一般的に、運動量が豊富で腸内環境が健康な犬は、自然に肛門腺が排出されるため特に手を加える必要はありません。しかし、以下のような場合には肛門絞りが推奨されることがあります。

– 小型犬:小型犬は肛門腺の自然排出が困難なことが多く、分泌液が溜まりやすい傾向があります。

– 運動量が少ない犬:運動が少ない犬は、肛門腺が自然に刺激されにくいため、分泌液が溜まりやすくなります。

– 肛門腺トラブルの履歴がある犬:過去に肛門腺炎や詰まりがあった犬は、再発防止のため定期的な肛門絞りが推奨されます。

肛門絞りの方法

自宅で肛門絞りを行う場合は、慎重に行うことが重要です。肛門の両サイドにある肛門腺を軽く押し、分泌物を外へ出しますが、過度な力を入れると犬に痛みを与えたり、炎症を引き起こす可能性があるため、基本的には獣医師やトリマーに任せることが望ましいです。また、肛門絞りに慣れていない場合、無理に行わずプロに頼むのが安全です。プロによる定期的なケアは肛門腺トラブルの予防になります。

注意点とまとめ

肛門絞りは、犬の健康維持において重要なケアの一つですが、犬種や健康状態により必要性が異なります。定期的なチェックとケアを怠らず、もし肛門絞りが必要な場合には、プロのトリマーや獣医師に相談することをおすすめします。無理に行わず、必要性や頻度をよく見極め、愛犬の健康管理に役立ててください。