あんなに自由気ままなネコがどうしてペットになれたのか
【はじめに】
ペットとして人気な動物の二大巨頭と言えばイヌとネコではないでしょうか。散歩をすれば飼い主にきちんとついてくるし、飼い主を認識して甘えてくる。そんな、人に対して従順なところが人気なイヌとは対照的に、ネコはとっても自由気ままですよね。家の中では自分勝手に動きまわるし、急に甘えてきたかと思ったらその後すぐにツンケンした態度を取ってくるし。また、現在の日本では野良イヌはほとんど見かけないですが、野良ネコは都会でも田舎でも道端を歩いていたらそれなりの頻度で見かけます。つまり、ネコはペットにならずとも、自分たちで暮らしていくだけの能力と特徴をもっているはずなのです。それなのに、そんなネコがどうしてペットになりえたのでしょうか。今回はそんな疑問に注目します。
【ネコと人との関係】
・人とのコミュニケーション
やはり人と良好な関係を築くためには、コミュニケーションをとれることが重要であるでしょう。ネコが鳴き声をあげることはもちろんご存知でしょうが、ネコは人と暮らすようになってから、人に対して甘えたり、自分の意見を伝えたりするために鳴き声が発達したと言われています。ネコを飼育している方は、餌をあげるときなどに鳴き声をよく聞くと思いますが、先ほど挙げたことから、昔のネコはおそらくこんなことをしなかったのだろうと推測されます。つまり、人と暮らすようになってから、餌を与える人に対して反応をするなどのコミュニケーションをとるようになったのでしょう。そしてこれが、人間と良好な関係を築くのに重要であると考えられます。
・人を認識する能力
コミュニケーションをとるためには、ネコが人を認識する必要がありますよね。実は、ネコは人のジェスチャーを理解できると言われています。どのようにして、ネコがジェスチャーを認識しているのかはわかりませんが、人と暮らすにあたって、人の指差しを認識できることは重要でしょう。逆に言えば、ネコとコミュニケーションをとる際にジェスチャーを交えることが、ネコに自分の考えを伝える際の補助になるのではないでしょうか。また、ネコは顔から人の感情が理解できると言われています。人間同士でもそうですが、感情の理解は良好な関係を築くにあたってとても重要ですもんね。加えて、ネコは人の声が理解できるとも言われています。”たとえば、ネコは自分の名前を呼びながら自分を見ている人とただ自分を見ているだけの人がいたら、自分の名前を呼んでいる人の方に向かう傾向がある” (引用:https://doi.org/10.2117/psysoc.2016.112)ことが研究で示されました。つまり、ネコは人の顔や声から自分に注意を向けている人や好意をもっている人を認識していると思われます。このようなネコの特徴は、人と暮らすにあたってとても重要であり、こういった特徴があることが、ネコがペットとして暮らせている理由なのではないでしょうか。ネコは思ったよりも、人のことを理解しているみたいですね。
【人との類似性】
・実は顔の形が似ている?
馬や牛などの草食動物は、天敵である肉食動物の存在をすぐに認識できることが必要であるため、視野がとても広いです。そのため、眼が顔の横についています。その一方で、ネコは人と同じく肉食動物なため、両種とも眼は顔の前の方に位置しています。ネコは相手とコミュニケーションをとる際に眼に注目する特徴があるため、人の眼の配置が自分たちと類似していることが、ネコにとっては好意的に感じるのではないでしょうか。
・行動の類似性
人は何をするにしても、まずは親から教えてもらいますよね。実はネコにも同じ特徴があるのです。人と同じく、ネコは親に育てられます。このことから、ネコは人のことを親だと思って、人からさまざまなことを学んでいるのかもしれません。このように、人とネコの生態が類似しているため、ネコは人に懐くのかもしれません。赤ちゃんから育てたネコの方がなつきやすいのは、これも理由となるでしょう。
【まとめ】
今回は、ネコがペットになった理由について考察しました。ネコはイヌと違って自由気ままに暮らす印象がありますが、それでも、人と暮らすのに適した生態を元々もっていたのではないのかなと感じました。また、そんな特徴がだんだんと人との暮らしに合うように変化していったのであろうと考察しました。このことから、今はまだペットとして確立していない動物も、今後人と暮らして人に馴れることで、ペットになる可能性もあるのではないかと思いました。実際に、タイなどではとても凶暴な動物で知られているトラが、触れ合いながら記念撮影できるほど人に慣れていたりします。動物の進化には時間がかかるため、今すぐにとは言えませんが、数百年から千年後には、予想もできない動物がペットとして普通に飼われる未来が訪れるかもしれませんね。