ハリネズミの餌事情〜何をあげれば良いのか悩んでいるあなたへ〜

【はじめに】

ハリネズミは雑食で有名な動物なため、餌として何を与えてあげれば良いのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、ペットとして飼育されているハリネズミの中には、急に餌を食べなくなってしまう個体もおり、どんな餌なら食べてくれるのかとヤキモキしている方もいると思います。そこで今回は、ハリネズミの餌として適切な食べ物と、餌を食べてくれなくなったハリネズミへの対処法を紹介したいと思います。

【ハリネズミの餌】

 ハリネズミの餌の中には大きく分けて、主食となる餌とおやつとなる餌の2種類があります。これらの違いは、栄養価とハリネズミの食いつい具合です。栄養価は主食となる餌の方が高く、そのバランスも良いですが、食いつき具合はおやつの方が高いです。ただ、栄養価が良いからと同じ主食ばかりあげていては、ハリネズミに飽きがきてしまう可能性があり、その一方で食いつきが良いからとおやつばかりあげていると、肥満や栄養バランスの崩壊など、ハリネズミの健康に支障をきたす可能性があります。そのため、健康的な食生活のために、基本的には主食を与え、時折おやつをあげるといったように、これら2種類の餌をバランスよく与えましょう。

 また、これら2種の餌はそれぞれ効果的な与え方が異なります。主食の餌は寝る前などに皿に入れてあげて、夜行性のハリネズミが活動している最中に自由に食べられるようにしてあげましょう。一方で、おやつ系の餌は皿に入れても良いですが、おすすめの与え方は手渡しです。ケージをお掃除するときなどでハリネズミを移動した後に、少し興奮状態のハリネズミに手渡しでおやつをあげることで、信頼関係を築くためのコミュニケーションにもなります。また、ハリネズミ側からするとびっくりするようなイベントである掃除の後におやつを与えることで、このイベントが自身にとって得をする(おやつがもらえる)ことであると学習することもあります。そのため、掃除後はおやつを与えるベストなタイミングであると言えるでしょう。

【ハリネズミの主食】

 ハリネズミの主食は形状によって、ペレットタイプとタブレットタイプに分けられます。以下では、これら2つのタイプの特徴について紹介していきます。

・ペレットタイプ

 ペレットタイプは直径が1mmほどの小さな粒状の餌ですが、ハリネズミはこのままでは小さすぎて食べることができません。そのため、このタイプの餌を与える際には、ぬるま湯に1分ほど浸してふやかしてあげる必要があります。このように、ペレットタイプの餌は与える時に一手間加えなければいけません。また、ふやかした餌は歯にくっつきやすいため、ハリネズミがかかりやすい病気の1つである「歯周病」にかかる可能性が高まります。このようなデメリットから、個人的には後述するタブレットタイプの餌をおすすめしますが、ペレットタイプの餌にもメリットがあります。それは、生後6ヶ月未満の子供ハリネズミに適した餌である点です。生後間もないハリネズミはまだ歯が発達していないため、ふやかした餌を与える必要があります。そのため、子供のハリネズミにはペレットタイプの餌が適していると言えます。また、個体によってはふやかした餌を好む子もいるため、乾燥した餌を食べてくれなくなった場合には、ペレットタイプの餌をふやかして与えてあげると良いのではないでしょうか。なお、ふやかした餌は乾燥した状態よりも腐りやすいので、1日おきに中身を変える必要があります。

・タブレットタイプ

 タブレットタイプは5mmほどの大きさをしたタブレット状の餌です。この餌は、乾燥した状態で与えるのに適しています。乾燥した餌は、「腐りにくい」、「歯周病になりにくい」などのメリットがありますが、その一方で個体によっては食べてくれないというデメリットがあります。

・結局どの主食を与えれば良いの?

 与える餌に困っている方におすすめするのが、複数種の餌が少量ずつパックされたお試し用の餌セットです。ハリネズミは、個体によって好き嫌いが異なるため、ご自分のハリネズミの好みを把握するためにも、まずはいろんな種類の餌を与えてあげるのが良いと思います。そして食い付きの良い餌を改めて購入するといった選択がベストなのではないでしょうか。ただ、あまり好き嫌いがなく、ペレットタイプでもタブレットタイプでも食べてくれるハリネズミに関しては、個人的にはタブレットタイプをおすすめします。理由は上述した通り、乾燥したタブレットは手間もかからず病気にもなりにくいからです。ただ、個体によっては同じ餌を与え続けると食べなくなってしまうハリネズミもいるため、食いつきが悪くなってきたら、新しい種類の餌、新しいタイプの餌へと変えるようにしましょう。

【ハリネズミのおやつ】

 ハリネズミのおやつには、ミルワームなどの昆虫系や鶏肉などの肉系、りんごやニンジンなどの植物系があります。以下では、これらのおやつについて紹介していきます。

・ミルワーム

 ミルワームは非常におすすめのおやつの1つです。特に乾燥したミルワームであれば、ペットショップやオンラインショップなどで簡単に入手できますし、多くのハリネズミが好んで食べるからです。コオロギなどの少し大きめの昆虫もおやつとして与えることができますが、その場合は、そのままだと大きすぎるため、少しバラして与える必要があります。

・鶏肉のささみ

 スーパーで手に入れることのできる鶏肉は、動物性タンパク質を効果的に摂取できるおやつの1つです。ただ、もも肉などの高脂質な部位よりも、ささみなどの低カロリーな部位の方が、ハリネズミの健康的には良いです。鶏肉を与える際は、小分けにして冷凍保存しておき、与える時に解凍して、小さく割いてあげるのが良いかと思います。また、ゆでた卵も同様に、動物性タンパク質を豊富に含んだおやつの1つです。これらのおやつは、ハリネズミの食欲回復に効果的であると言われているため、「最近餌を食べてくれないなぁ」とお困りの飼い主さんは、積極的に与えてあげると良いのではないでしょうか。

・野菜系

 りんごや人参などの野菜や果物も、意外とハリネズミは好んで食べます。また、これらのおやつに関しては、人が捨ててしまう皮部分を与えることで、経済的なおやつとなるためおすすめです。りんごや人参の他にも、キャベツや芋なども食べてくれます。ただ、与える際には農薬や塩などによる味付けがされていないものを選びましょう。

【まとめ】  

今回は、ハリネズミに与える餌の紹介とそれらの特徴・注意点、そして食いつきの悪くなったハリネズミへの対処法について紹介しました。今回紹介した餌を参考に、いろんな餌を与えてあげることで、好みの餌を探していくのが良いのではないでしょうか。これによって、ハリネズミの健康的な食生活を築くことができるのではないかと思います。