ハムスターと末長く一緒に過ごすためにすべきこととは?
小さくてお手軽であり見た目も可愛らしい。そしてなんと価格も安い。そんなところがハムスターがペットとして人気な理由ではないでしょうか。ただ、ハムスターを飼育する際にはその寿命の短さが懸念材料となるでしょう。品種にもよりますが早いと1年、長くても3年ほどしか生きることができません。ちなみに、ハムスターの最長寿命のギネス記録は4年と6ヶ月です。では、自分が飼育しているハムスターにもそれくらい長生きしてもらうにはどうすれば良いのでしょうか。このことに気を揉んでいる方はきっと多いことでしょう。そこで今回は、ハムスターが亡くなる主な原因と長生きしてもらうための工夫点を紹介します。
ハムスターが亡くなる主な原因
稀に転落などの事故で亡くなることもありますが、病気で亡くなることがほとんどです。病気の予兆としては、活動量の低下や睡眠時間の増加、食欲不振、排泄異常、過度のグルーミングなどがあります。これらの異常は以下のような病気が原因となって起こるようです。
・ウェットテイル
これは肛門あたりが湿っていることから名付けられたもので、いわゆる下痢のことです。また、食欲不振や毛並みの乱れ、活動量の低下などもその症状として現れます。ウェットテイルはハムスターで最もよくみられる病気であり、しかもその致死率は最大で90%にも上る凶悪な病気です。また、なんとか生存したとしても、その後に腸閉塞などによって死にいたる可能性もあります。この病気は細菌感染が原因となるため、その予防のために飼育環境の衛生面を整えたり、免疫力を高めるためにストレスを与えない飼育を心がけたりすると良いでしょう。
・肺炎
肺炎は細菌やウイルスに感染し、肺が炎症を起こした状態のことを言います。この病気にかかると、鼻水が出るようになったり、呼吸異常が見られたりするようになります。前述したウェットテイルと同じ細菌感染によるものなので、予防には同じように衛生面やストレス面に注意することが重要でしょう。また、質の悪いブリーダーでは衛生環境の悪い状況で飼育していることもあるため、購入後すぐに病気が発症することもあります。そのため、価格の安さだけを重視せず、ちゃんと信頼できるブリーダーさんから購入した方が良いです。
・心不全
ハムスターが何の予兆もなく突然死した場合の死因の1つです。ゼーゼーと息苦しそうにしていたり手足が青みがかったりすることが主な症状として考えられます。高齢のハムスターや遺伝的に発症しやすい特徴をもったハムスターでよく見られます。この病気に関してはこれといった対策は難しいですが、少しでも異常を感じたら動物病院に連れて行くことが対策の一つとなるのではないでしょうか。
・その他の感染症
細菌やウイルス、真菌(カビなど)、寄生虫による感染症もハムスターがよくかかる病気です。ウイルス感染したハムスターはしばしば、皮膚に腫瘍ができることがあります。そのほかにも、鼻水や鼻のただれなどを引き起こす風邪や皮膚の発赤などを引き起こす炎症なども挙げられます。これらの病気は直ちに死にいたる重篤な病気ではありませんが放っておくと危険なため、皮膚の異常や食欲などを毎日チェックすることが重要でしょう。また、ハムスターの感染症は人にうつることも、人がうつすこともあります。そのため、ハムスターと接する際にはきちんと手を洗ったりするなど、飼い主とハムスターのどちらの健康にも気遣うようにしましょう。
長生きしてもらうためには
では、このような病気にかからず長生きをしてもらうためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。これから、特に注意すべき3点を紹介していきます。
・餌の工夫
基本的に、餌は市販されているハムスターなどの齧歯類用のもので問題ありません。ただ、植物の種子や大部分が種子で構成された餌だけだとビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素が不足する可能性があります。また、種子には糖分や脂肪分が多く含まれるため、糖尿や肥満の原因となることもあります。最近では、栄養素がバランス良く配合された餌が多く発売されているため、ちょっと割高でもそういった餌を与えるほうが良でしょう。また、果物や野菜などをおやつとして与えることで、ビタミンなどの補給にもなるので、定期的に与えると良いと思います。ここで気を付けるべきことは、食いつきが良いからと糖分や食物繊維が豊富に含まれたものを与えすぎないことです。ハムスターの健康のために、適度に与えるようにしましょう。
・適切な飼育環境
飼育ケージが狭すぎると、十分に動き回るスペースが確保されないため運動不足になる可能性があります。飼育ケージは大きければ大きいほど良いので、飼い主さんの部屋の大きさと相談し、できるだけ大きなケージで飼育してあげましょう。ただ、ハムスターは脱走するのが上手なため、大きすぎるあまりにハムスターを見失うことがないようにご注意を。また、ハムスターはケージ内の至る所を噛む癖があるので、木製やアルミなどの柔らかい金属のケージはおすすめしません。噛み癖の対策として床材を敷くことがあると思いますが、低質なものだと呼吸器系障害の原因となるため、低アレルギー素材のものを選びましょう。杉や松などの針葉樹系の床材は肝臓病の原因となる可能性があるため、避けた方がベターです。
・ストレスの少ない生活環境
気温や湿度の変化は、ハムスターにとって大きなストレスにとなります。温度は20から26度ほど、湿度は30から70%ほどを保つようにしましょう。また、ハムスターは露出された場所だとストレスを感じるため、ケージ内に隠れ家を作ってあげる必要があります。ティッシュやタオルなどの資材はハムスターの巣づくりに役立つため、これを与えてあげるのがおすすめです。また、回し車やパイプなどのオブジェクトは、ハムスターの生活に適度な刺激を与えてくれます。これはストレスの解消にもつながるため、積極的に導入してあげましょう。ただ、もしハムスターがそのオブジェクトを気に入っていないようだったら、取り除いてあげた方が良いかもしれません。
まとめ
今回は愛すべきペットであるハムスターが亡くなってしまう主な原因と、長生きしてもらうための工夫点について紹介しました。ところで、動物はその体重に応じて時間の流れが異なるという話はご存知でしょうか。ゾウなどの重たくて大きな動物の時間はゆっくりと流れ、ネズミやハムスターなどの小さな動物の時間は早く流れます。ハムスターは他の動物よりも比較的早く亡くなってしまうわけですが、その分ハムスターにとっての一日は他の動物よりも長く、濃密で大切なものであるのです。そのため、私たち飼い主はハムスターに長生きしてもらうことと同時に、ハムスターの毎日をより楽しいものにしてあげる義務があるのではないかと思います。